日記、読書、映画。
機械之心
『ミミズクと夜の王』
2007年 03月 02日 (金) 00:00 | 編集
紅玉いづきの『ミミズクと夜の王』(電撃文庫)を読む。
鎖の手枷足枷をつけられ、額に焼き印を押された少女は、魔物が跋扈し、魔物の王が支配する森に足を踏み入れる。魔王に一口に食べてもらうために。少女の名前はミミズク。
奴隷として家畜のように扱われてきた少女が死を望んで森へ入る。魔物の領域の森で、ミミズクは人ならぬ者達に出会い、生き直す。死と再生の物語が入れ子のように幾つも語られ、大きな奔流となり、また源に戻って行く流れには心が動かされた。
それにしても、登場する名前のある女性は、みな過酷な境遇にあった。虐待され続けたミミズク、自らの命と引き替えに子どもを産む王妃、身ごもることが出来ない妻……そして全員がその運命を受容し、自ら決定を下して前向きな姿勢を崩すことはなかった。
「あとがき」で「安い話を書きたい」と言い続けていたとあったが、それは「解説」の有川浩が言うところの「奇をてらわない」「まっすぐ」な話を書きたいの韜晦ではなかったのだろうか。
カバーは磯野宏夫。挿絵はない。ミミズクの手足に食い込みそうな鎖も、魔物も、塔の中の王子も、美しい魔王も、想像するほかない。
ミミズクの爪は黒く汚れていたのだろうと思う。
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