日記、読書、映画。
機械之心
虹の集合住宅
2008年 07月 08日 (火) 00:01 | 編集
宇佐美まことの『虹色の童話』(MF文庫ダ・ヴィンチ)を読む。
夫を亡くした千加子は、老いた姑の世話をしながら民生委員をしていた。千加子はレインボーハイツに生活保護を受けている祖父と住んでいて、あまり世話をされていない様子の男児を気に掛けていたが、彼らだけでなく、老朽化したこのアパートに住んでいる数少ない住人は、みな何かしらの問題を抱え不幸の影を携えていた。
美しい名前と裏腹の、淀んだ雰囲気のアパート。子どもを盗られるという妄想に固執する若い母親、夫の連れ子に罵倒される継母、妻に暴力をふるう夫、失業中の中年男……ありふれた不幸だが、集まると言い知れない不吉さを帯びる。レインボーハイツの住人に関わる千加子も、その連なりとは無関係ではいられない。織り込まれた伏線が生きる後半の展開にいやな気分になるが、読むことを止められない。
読み終わってから、レインボー(虹)は雨上がりの空に、僅かな時間だけ現れるはかない存在で、人生もそのようなものという含みがあるのではないかと思った。そんなに悪くない生活を送っていても、明日はどうなるかわからない、一寸先は闇という。

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