日記、読書、映画。
機械之心
遊郭のはなし
2008年 05月 20日 (火) 00:01 | 編集
長島槇子の『遊郭(さと)のはなし』(幽ブックス)を読む。第2回『幽』怪談文学賞長編部門特別賞受賞作。
吉原の遊郭「百燈楼」では、「赤い櫛を拾ったら死ぬ」と語り継がれていた。赤い櫛を見たら手を触れず、なるべく遠くへ逃げなくてはいけなかった。
遊郭に伝わる不思議を、女中が、客が、幇間、花魁が語る。連作短編のようで、一つの長い物語となっていた。語り手の交替がなめらかに行われ、語り手が変わることによって、百燈楼の調度や規模、そこに暮らす人々の様子に別の角度から光が当てられ、脳裏に立体的に浮かんだ。巧みな筆さばきである。
はじめは遊郭の様子に興味を引かれて読み進んだが、いつの間にか嘘か真かの怪異の中に取り込まれ、阿鼻叫喚の惨事の現場に立ちすくんでいた感じ。江戸の吉原に見事に連れて行かれた。でも物語の世界に閉じこめられなくて良かった。
「百燈楼」という名前も、いかにも怪しい。百物語の会で点す、百の灯心を思わせる。

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