日記、読書、映画。
機械之心
『天使の牙から』
2007年 06月 09日 (土) 09:01 | 編集
ジョナサン・キャロルの『天使の牙から』(浅羽莢子・訳、創元推理文庫)を読む。
末期の白血病を患う元テレビスターと、絶頂期に引退した女優の二つの人生が描かれるのだが、この二人の人生がどこで交わるのか興味を持って読み、驚き、キャロルの技に翻弄された。
病状は落ち着いてはいるが死がそれほど遠くないところにいる人間の生活に、恐怖と悲しみで心を揺さぶられ、幼い頃、怖い夢を見て夜中に目が覚め、「おとうさんとおかあさんがしにませんように」と誰かに祈ったことを思い出した。未読だけれど伊坂幸太郎の『死神の精度』のことも。死神が登場するという繋がりからだが、キャロルの死神と伊坂のそれは全然違う。伊坂はかつて『天使の牙から』を読んで、自分なりの死神を作り上げたのではと想像した。大した根拠はないが。
キャロルの作品では、ゲイは良い人で、女性が酷い目に遭うというパターンがあり、今回もそれが踏襲されていた。読んでいる時は夢中で、気が付いたのは読み終わりそうになってからだったが、女性もやられっぱなしでなかったのが救いであった。
いやな気持ちになるが、魅力も多い傑作。
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