2007年
01月
11日
(木)
07:27 |
編集
石黒達昌の『冬至草』(ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)を読む。短編集。
読んでいる時と読み終わってすぐは、別々の物語なのに登場人物達の多くはガンで死ぬか、身内をガンで亡くしているため、ヒトはガンと闘い、負けて死ぬしかないのかと暗鬱な気持ちにさせられた。
芥川賞候補にもなった「目をとじるまでの短かい間」では、語り手である医師の妻(可奈子)が効果が期待される新薬を使用したにもかかわらず亡くなっている。投薬後「数日して呼吸苦を訴えた可奈子は薬の副作用で重篤な肺炎を患っていた。それを治そうとして、腎不全を併発させていった」……副作用による合併症の連鎖は病人から体力を奪い、本来の病ではないものが命を奪う。てのひらから砂がこぼれるような無力感に、本から顔を上げてこれがフィクションで、今のところは自分の身の上に起こっていないことに安堵した。
表題作「冬至草」は、放射能を帯びた和名しかない植物・冬至草の標本が偶然発見され、語り手は冬至草を調査するうちに、数十年前に冬至草を発見して研究と栽培に命を賭けた半井(なからい)幸吉を知るという話。半井の生い立ちが悲惨で、植物研究に没頭しているときだけは楽しそうで、夢中になれるものがあって良かったと架空の人物の人生を祝福した。
読んでいる時と読み終わってすぐは、別々の物語なのに登場人物達の多くはガンで死ぬか、身内をガンで亡くしているため、ヒトはガンと闘い、負けて死ぬしかないのかと暗鬱な気持ちにさせられた。
芥川賞候補にもなった「目をとじるまでの短かい間」では、語り手である医師の妻(可奈子)が効果が期待される新薬を使用したにもかかわらず亡くなっている。投薬後「数日して呼吸苦を訴えた可奈子は薬の副作用で重篤な肺炎を患っていた。それを治そうとして、腎不全を併発させていった」……副作用による合併症の連鎖は病人から体力を奪い、本来の病ではないものが命を奪う。てのひらから砂がこぼれるような無力感に、本から顔を上げてこれがフィクションで、今のところは自分の身の上に起こっていないことに安堵した。
表題作「冬至草」は、放射能を帯びた和名しかない植物・冬至草の標本が偶然発見され、語り手は冬至草を調査するうちに、数十年前に冬至草を発見して研究と栽培に命を賭けた半井(なからい)幸吉を知るという話。半井の生い立ちが悲惨で、植物研究に没頭しているときだけは楽しそうで、夢中になれるものがあって良かったと架空の人物の人生を祝福した。
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